草山

2004年4月16日 読書
草山の草の中からきいてると
いろんなたのしい声がする。

「きょうで七日も雨ふらぬ
のどがかわいた水ほしい。」
それはお山の黒い土

「空にきれいな雲がある
お手てひろげてつかもうか。」
それはちいさなわらぴの子。

「お日さんよぶからのぞこうか。」
「わたしもわたしも、ついてゆく。」
ぐみの芽、しばの芽、ちがやの葉
いろんなはしゃいだ声がする。

春の草山にぎやかだ。

ももの花ぴら

2004年4月15日 読書
みじかい、みどりの
春の草、
ももがお花をやりました。

かれてさみしい
竹の垣、
ももがお花をやりました。

しめって黒い
畑の土、
ももがお花をやりました。

おてんとさまは
よろこんで、
花のたましいよぴました。
 (草のうえから、
 はたけから、
 ゆらゆらのぼるかげろうよ)
  

花のお使い

2004年4月14日 読書
白菊、黄菊
雪のようを自い菊。
月のような、黄菊。

たあれも、たあれも、みてる、
わたしと、花を。
  (菊は、きィれい、
  わたしは菊を持っている、
  だから、わたしはきィれい。

おばさん家は遠いけど、
秋で、日和で、いいな。
お花、のお使いいいな。

輪まわし

2004年4月13日 読書
あの町ぬけて
この町ぬけて
輪まわし がァらがら。
一つ人力
二つ荷車
おいこして がァらがら。
三つ目をぬけば
もう町はずれ、
町の外へ がァらがら。

たんぽぽのみちは、
お空へつづく、
空の上まで がァらがら。
日が暮れかかりゃ
夕やけのなかへ
ほうり出して、かァえろ。

海から出た星が、
その輪をかぶって、
天文台の博士、
ぴっくり、しゃっくり、目をまわす。
「大発見じゃ、たいへんじゃ、
土星が二つにふえちやった。」

水と風と子ども

2004年4月12日 読書
天と地を
くゥるくゥる
まわるはだれじゃ。
それは水。

世界中を
くゥるくゥる
まわるはだれじゃ。
それは風。

かきの木を
くゥるくゥる
まわるはだれじゃ。

それはその実のほしい子じゃ。

月と雲

2004年4月11日 読書
空の野原の
まん中で
ぱったり出あった
月と雲。

雲はいそぎで
よけられぬ、
月もいそぎで
とまられぬ。

ちょいとごめんと
雲のうえ、
すましてすたこら
お月さん。

あたまぷまれた
雲たちも
平気のへいざで
えっさっさ

山と空

2004年4月10日 読書
山と空

もしもお山が硝子だったら、
わたしも東京が見られましょうに。
――お汽車で
  行った、
  兄さんのように。

もしもお空が硝子だったら、
わたしも神さまが見られましょうに。
――天使に
  なった
  妹のように。
もしもお山が硝子だったら、
わたしも東京が見られましょうに。
――お汽車で
  行った、
  兄さんのように。

もしもお空が硝子だったら、
わたしも神さまが見られましょうに。
――天使に
  なった
  妹のように。
わたしがあるくとお月さんも歩く、
いいお月さん。

毎ばんわすれずに
お空へくるなら
もっともっといいお月さん。

わたしがわらうとねえやもわらう、
いいねえや。

いつでもご用がなくて
あそんでくれるなら
もっともっといいねえや。

わたしがあるくとお月さんも歩く、
いいお月さん。

毎ばんわすれずに
お空へくるなら
もっともっといいお月さん。

わたしがわらうとねえやもわらう、
いいねえや。

いつでもご用がなくて
あそんでくれるなら
もっともっといいねえや。

ぞうの鼻

2004年4月8日 読書
むうく、むうく
山の上、
巨きなぞうが白い。

むうく、むうく
空に、
ぞうの鼻がのぴる。
――水いろ空に、
  失くしたきぱか
  しイろくほそく。

むうく、むうく
鼻が、
のぴてものぴても遠い。

とどかぬ
ままに、
はいいろに暮れて、
――しずかな空に、
  とれないきばは
  いよいよしろく。

月のひかり 2

2004年4月7日 読書
月のひかりはみつけます、
暗いさみしいうら町を。

いそいでさっととぴこんで、
そこのまずしいみなしこが、
おどろいて眼をあげたとき
その眼のなかへもはいります。
  ちっともいたくないように
  そして、そこらのあばら屋が、
  銀の、ごてんにみえるように。

子どもはやがてねむっても、
月のひかりは夜あけまで、
しずかにそこに佇ってます。
  こわれ荷ぐるま、やぶれかさ
  一本はえた草にまで
  かわらぬ影をやりながら。

月のひかり 1

2004年4月6日 読書
月のひかりはお屋根から、
明るい街をのぞきます。

なにも知らない人たちは、
ひるまのように、たのしげに、
明るい街をあるきます。

月のひかりはそれを見て、
そっとためいきついてから、
だれも貰わぬ、たくさんの、
影を瓦にすててます。

それも知らない人たちは、
あかりの川のまちすじを、
魚のように、とおります。
  ひと足ごとに、こく、うすく
  のぴてはちぢむ、気まぐれな、
  電灯のかげをひきながら。

わたし

2004年4月5日 読書
どこにだってわたしがいるの、
わたしのほかに、わたしがいるの。

通りじゃ店の硝子のなかに、
うちへ帰れば時計のなかに。

お台所じゃおぼんにいるし、
雨のふる日は、路にまでいるの。

けれどもなぜか、いつ見ても、
お空にゃ決していないのよ。

昼と夜

2004年4月4日 読書
昼のあとは
夜よ、
夜のあとは
昼よ。

どこにいたら
見えよ。

長い長い
なわが、
そのはしと
はしが。

いそがしい空

2004年4月3日 読書
今夜はお空がいそがしい、
婁がどんどとかけてゆく。

半かけお月さんとぶつかって、
それでも知らずにかけてゆく。

子雲がうろうろ、じゃまっけだ、
あとから大雲、おっかける。

半かけお月さんも雲のなか、
すりぬけ、すりぬけ、かけてゆく。

今夜はお空がいそがしい、
ほんとに、ほんとに、いそがしい。

海のこども

2004年4月2日 読書
海のこどもみィつけた、
大きな岩の上に。
になの子どもみィつけた、
海のこどものなかに。

海のこどもかわいいな、
になの子どもかわいいな。

はまの石

2004年4月1日 読書
はまべの石は玉のよう、
みんなまるくてすべっこい。

はまべの石はとぴ魚か、
投げればさっと波を切る。

はまべの石はうたうたい、
波といちにちうたってる。

ひとつぴとつのはまの石、
みんなかわいい石だけど、

はまべの石はえらい石、
みんなして海をかかえてる。

墓たち

2004年3月31日 読書
墓場のうちに、
垣根ができる。

墓たちは
これからは、
海がみえなくなるんだよ。

こどもの、こどもが、乗っている、
舟のでるのも、かえるのも。

海べのみちに、
垣根ができる。

ぼくたちは
これからは、
墓がみえなくなるんだよ。

いつもひいきに、見て通る、
いちばん小さい、丸いもの。

つくる

2004年3月30日 読書
小鳥は
わらで
その巣をつくる。
  そのわら
  そのわら
  たあれがつくる。

石屋は
石で
お墓をつくる。
  その石
  その石
  たあれがつくる。

わたしは
すなで
箱庭つくる。
  そのすな
  そのすな
  たあれがつくる。

なぞ

2004年3月29日 読書
なぞなぞなァに、
たくさんあって、とれないものなァに。
  青い海の青い氷、
  それはすくえば青かない。

なぞなぞなァに、
なんにもなくって、とれるものなァに。
  夏の昼の小さい風、
  それは、うちわですくえるよ。
子どもは野原の花をつむ、
けれども、帰るみちみちで
はらりはらりとまきちらす。
お家にかえれば、何もない。

もぐりは海の珊瑚とる、
けれど、あがれば舟におき、
からだ一つでまたもぐる。

じぶんのものは 何もない。

月はお空の星ひろう、
けれど、十五夜すぎたなら、
またもお空へまきちらす。

晦日ごろには、何もない。

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